次は、ピント合わせです。
これは、「カメラをいじりたい人」と「写真を撮りたい人」で、大きな差はなく、どちらにも、ピント合わせが得意な人と、苦手な人が存在します。
ポイントは、オートフォーカスであれ、マニュアルフォーカスであれ、ピントを合わせたあとに、体を動かしてしまうかどうかです。
ピントが苦手な人は、本人は気がつかなくても、たいていシャッターを押すときに体が動いています。
手が動くと言ってもいいかもしれません。
ピントが合ったのに、シャッターを押す瞬間に、前のめりになったり、手が下に動いたりするパターンが多いのではないでしょうか。
自分の写真が「どうもピントがずれている」と思われる方は、シャッターを押す瞬間の自分の体の癖を、冷静に分析すると良いと思います。
ただしピント合わせは、ネットを見ていると、プロの方でも「永遠の課題」という話が出てきます。
結局は、打率を上げていくことしかないみたいですね。
最後は「画角の選択」です。
今、私が取り組んでいる課題です。
画角の感覚を掴むために、フォトアドバイスの「標準レンズ講座」を受講しました。
今も標準レンズだけで撮影するように心掛けていますが、これは時間がかかると覚悟しています。
この「画角の選択」は、「カメラをいじりたい人」にとっても「写真を取りたい人」にとっても、難易度は同じだと思います。
「標準レンズ講座」で教わったことですが、一番良い練習は「基準となる画角を体得すること」だと思います。
そのため、単焦点レンズを一つ決めて(標準レンズが望ましい)その画角が染みこむまで撮り続けるしかありません。
参考:
さて、前回の記事に、
「写真が上手くなりたいなら、最低必要なのは、カメラがコントロールできることです。
カメラがコントロールできるというのは、次の3つをマスターしていることです。
1.被写体(主題)にピントを合わせることができる。
2.絞り、シャッタースピード、ISO感度の関係が理解できていて、露出をコントロールできる。
3.撮りたい画にあわせて、画角を選択できる。
この3つは、写真を学ぶ上で、マスターしなければならない項目です。」
と書きました。
ここまでは、写真を撮るための基礎となる、カメラを操作する技術なので、遅い早いはあっても、繰り返し練習すれば一定の水準までいけます。
カメラがコントロールできるようになったら、次は「写真表現」になります。
まず、基礎技術として「構図」を学ぶ必要があります。
「構図」も、「画角」と同様に習得には時間がかかり、「カメラをいじりたい人」にも「写真を撮りたい人」にも、難易度は高めです。
しかし基礎が身につけば、誰でも一定のクオリティの写真が撮れるようになります。
基礎技術が一定のレベルに達すると、いよいよ本格的に「写真表現」を追求していく段階ですね。
私は、中級者と上級者の違いは、「自分の表現ができるか否か」だと考えています。
正直、私自身は、まだ中級者とはいえません。
以前よりも少し中級者に近づいたひよっこ、というのがぴったりです。
いろいろな人の写真を見て思うのが、ピントも露出も構図も良い写真であっても、「記録重視」なのか「表現重視」なのかで、方向性が大きく変わることです。
極端に言うと、誰でも技術があれば、質の高い「記録写真」は撮れるのです。
ところが、「表現」は技術だけではダメなのです。
写真を撮っている方なら、たぶん、お分かりいただけるのではないでしょうか。
私が見るかぎり、「表現」で伸び悩む人が多いのが「カメラをいじりたい人」。
なぜなんだろう?と、ずっと思っていました。
私なりに出した答えは、「そもそも、表現したいものがないから」です。
かなり乱暴な言い方ですが、それしか思いつかないんですね。
一方、「写真が撮りたい人」は、一番先に「こういう画が撮りたい」というイメージがあり、そのために露出をどうするか、画角をどうするか、構図をどうするかと考えるのだと思います。
ところが「カメラをいじりたい人」は、被写体の形をきれいに切り取ることだけを考えている気がするのです。
だから、ピントが合っていても、露出が適正でも、構図が良くても、「美しい記録写真」以上に、なかなか脱却できないのではないでしょうか。
もちろん、本人がそういう写真を目指しているなら、それでOKです。
写真にはいろいろなジャンルがありますし、かっちりした端正な写真の愛好家もいるでしょう。
しかし、自分の写真の幅を広げたいと思っているなら、写真という媒体を使って「何を伝えたいのか」や「何を表現したいのか」を、自分で明確にしないと、難しいと思うのです。
残念ながら、これは人から教わることができないし、他人が教えられるものでもありません。
写真には、撮影者の世界観が写し出されます。
撮る人間の被写体を見る眼、すなわち撮影者が、自分を取り巻く世界をどのように見ているかが、無自覚であっても、自然と写真で表現されるからです。
近ごろ「本当の写真の上達は、基礎技術を身につけてから始まる」と思うようになりました。
今はまだ、画角のコントロールを覚える段階ですが、少しずつでも自分の写真が向上するように、撮影する時間を作りたいと思います。
標準レンズの練習。
ご近所の門の外にあった鉄瓶です。
飾っていると思われますが、唐突で……謎。
塀の外からで、これ以上近づけませんでした。